76歳の母と、正月の竜ヶ岳へ― ダイヤモンド富士を見に行った、静かな山旅 ―

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1|「私も行きたい」の一言から始まった

2026年1月3日。
正月の竜ヶ岳で、ダイヤモンド富士を見る。

そう決めたのは、
年末が少し見えてきた頃のことだった。

「正月にダイヤモンド富士を見に行こうと思ってる」
そう話した数日後、母がぽつりと
「私も行きたい」と言った。

母となら、きっといい時間になる気がして、
一緒に行くことを決めた。

前日の1月2日、
昼頃に家を出て、山梨へ向かった。

2|富士眺望の湯ゆらり。雪に変わった景色

最初に立ち寄ったのは、富士眺望の湯 ゆらり。
正月ということもあり、駐車場も受付もかなりの行列だった。

それでも、駐車場から見えた真っ白な富士山だけで、
「もう来てよかったな」と思えた。

先に食事を済ませることにして、
母は甲斐サーモン丼、私はとんかつ定食。
二人で少しずつシェアするのが、いつものスタイルだ。

入館した時は快晴だった空が、
露天風呂に出た頃には、雪に変わっていた。

サウナから外に出ると、雪は本降り。
雪の中で“ととのう”という、初めての体験。

そして、静かに降り続く雪を眺めながらの雪見風呂。

正月の始まりに、こんな景色が待っているとは思っていなかった。

3|道の駅なるさわでの車中泊。静かな夜

温泉を出ると、駐車場はもう真っ白だった。
スタッドレスを履いていたので、ゆっくりと慎重に移動し、
すぐ隣の道の駅なるさわへ。
すでに何台か、車中泊の車が止まっていた。

この夜、一番気になっていたのは寒さ。
そこで用意したのが、次の対策だった。
・キャンプ用マットを二重
・冬用寝袋+夏秋用寝袋の二重使い
結果、これで十分暖かかった。
母は少し暑いと言って、途中でダウンを脱いでいたほどだ。

道の駅のトイレへ行ったが、
暖房が効き、便座も温かく、とても快適。
車中泊には本当にありがたい場所だった。

21時には就寝。

4|マイナス5度の朝。本栖湖へ

朝、エンジンをかけると外気温はマイナス5度。
車のボディは凍りついていた。

前日にお互い作ってきたお弁当を半分ずつ食べる。
ご飯は少し固くなっていたけれど、それも含めて旅の一部。

その後、本栖湖へ向かう。
冬季閉鎖のトイレが多い中、
入口手前の公共トイレで最後の準備を済ませた。

本栖湖無料駐車場を出発したのは、6時18分。
竜ヶ岳へ向けて、歩き出した。

5|満月から始まる登山。静かな雪道

まだ太陽は昇っていない。
本栖湖の湖面には、オレンジ色の満月が反射していた。

「きれいだね」
何度も立ち止まり、写真を撮った。

登山口までは雪道だったが、アイゼンはまだ装着せず。
登山道に入ってから、凍結が増えたタイミングで、
私も母もアイゼンを付けた。

周囲はチェーンスパイクの人が多かったが、
この日はアイゼンの安心感が大きかった。

6|山頂じゃなくても、ダイヤモンド富士は現れる

7時半過ぎ。
樹林帯を抜け、視界が一気に開ける。

笹原の向こうに、富士山がどんと現れた。
「ここで待とう」

富士山の左側が先に明るくなり、
正直、富士山のてっぺんから朝日が出ないかもしれない…と思った。

でも、太陽は
富士山の尾根の下を斜めに上がり、
最後は、ちゃんと“ど真ん中”から顔を出した。

山頂じゃなくても、
しっかりダイヤモンド富士だった。

母と感動を分かち合った。

7|見晴台から山頂へ。ゆっくり、確実に

中間地点の見晴台に着いた頃には、太陽はかなり上がっていた。
小休憩をして、再び登る。

雪は固く、アイゼンが頼もしい。
母は一本だけポールを使い、
普段通りの、無駄のない足運び。

何人もの人に道を譲りながら、
焦らず、ゆっくり。

山頂に着いたのは9時35分。

正月らしく、
山頂の標識にはお餅とリースが飾られていた。

この日は、相模湾まで見えるほどの快晴。
何度も登っている竜ヶ岳で、
初めて見る景色だった。

8|下山でこそ感じる、竜ヶ岳の良さ

10時19分、下山開始。

竜ヶ岳は、登りよりも下りがいい。
富士山が、どんどん近づいてくる。

途中、Instagramを見て声をかけてくれた方たちと話し、
「お母さんに勇気をもらいました」と言われた時、
母も私も、ただ嬉しかった。

12時39分、本栖湖駐車場へ無事下山。

9|下山後も、旅は続く

下山後は、富士宮経由で東名へ向かうことにした。
その途中、風の湯に立ち寄る。

正月のこの時間帯にしては珍しく、館内はとても空いていた。
登山を終えた体に、温泉の湯がゆっくり染みていく。

食事処でご飯を食べながら、
「今日は本当にいい一日だったね」と、自然に言葉がこぼれた。

温泉を出る時、受付の方がふと外を見て、
「今日は、すごいですよ」と声をかけてくれた。

外に出ると、
そこには、思わず立ち止まってしまうほどの紅富士が待っていた。

受付の方も驚くほどの美しさで、
まるで、この旅の締めくくりに用意されていたかのようだった。

風の色が変わる瞬間を、母と並んで眺める。

「今回も、いい旅だったね」

二人で作り上げた旅は、
良い時も、悪い時も、だいたいそう思える。

 

10|来年、行こうと思っている人へ

竜ヶ岳のダイヤモンド富士は、
12月末から数日間、チャンスがある。

天候と体調を見て、無理をしなければ、
登山初心者でも十分に楽しめる山だと思う。

特別な技術も、速さもいらない。
必要なのは、少しの準備と、行ってみようという気持ちだけ。

行ってみると、
きっと、小さな気づきが増える。

それが、山旅の一番のご褒美かもしれない。

旅の記録はInstagramでも見れます。
アカウント@tk.zero123

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