【黒部源流域 山旅1日目】母と歩く、黒部源流50kmの旅。雨上がりの出会いと、頼もしい背中

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1. 思っていたより、よく眠れた朝

初めての母との車中泊。
私は運転席を倒して眠りについた。
正直、あまり眠れないかもしれないと思っていた。けれど目を覚ますと、意外なほど体は軽かった。
後ろを見ると、母はもう起きていて、
後部座席のシートを倒した簡易ベッドに腰掛け、
静かに旅の準備をしている。

小柄な母の体に、
この狭い空間が不思議とぴったり収まっている。
その姿を見て、思わず微笑んでしまった。

2. 天気は下り坂、それでも心は前を向く

空は雲が多く、流れが早い。
天気予報は下り坂。
5日間すべてに雨マークが並んでいる。

それでも、
「どうなるんだろう」という不安より、
「いよいよ始まる」という高揚感の方が勝っていた。

6時54分。
ここから50kmを超える山旅が始まる。
行程は長い。
だからこそ、胸の奥が静かにワクワクしていた。

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3. 母の大きなザックと、小さな背中

登り始めてすぐ、目の前には急登が立ちはだかる。
前を歩く母の背中には、頭まで覆い隠すほどの大きなザック。

自称・暑がりの母は、この天候でも短パンとTシャツという軽快なスタイルだ。

その大きな荷物を背負って一歩一歩進む後ろ姿に、
私は母のこれまでの登山経験と、この旅にかける決意を見た気がした。

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4. 雨が降り出しても、歩みは止まらない

登り始めて1時間ほどで、雨が落ちてきた。
時折、強く降る。

体を冷やさないように雨具を着る。
登山道には雨水が集まり、
濁った小さな川のようになっていた。

それでも母は、
ゆっくり、でも確実に前へ進む。
私はそのペースに合わせて歩く。

後ろ姿を見ながら、
「この人、ちゃんと歩いているな」
そんな頼もしさを感じていた。

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5. 思いがけない出会いが、気持ちを軽くする

見晴らしのいいベンチに着くころ、雨は止んだ。
休憩していると、元気な3人組のパーティーが現れた。

自然と会話が始まり、
年齢や山歴の話になる。

「唐松〜五竜を76歳の母と息子で歩いたって話、知ってます?」
……それ、私たちです(笑)。

まさかの展開に、みんなで驚いた。
私たちのInstagramの投稿を見て、山仲間の間で話題になっていたらしい。
相手も親子登山。
似た境遇に嬉しく感じた。

この出会いが、
今日一日の空気をぐっと柔らかくしてくれた。

6. 母のペース、私のペース、山の時間

再び歩き出す。
霧雨の中、母はゆっくり、確実に足を運ぶ。

道端に高山植物を見つけるたびに立ち止まり、
愛おしそうにシャッターを切る母。
私はその隣で、急ぐことなく母のペースに合わせる。

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生憎の空模様だったけれど、
霧の向こうに透けて見える景色でも、
十分壮大だった。

7. 太郎平小屋、北アルプスの奥地に辿り着いた実感

13:44、1日目の目的地「太郎平小屋」に到着。

割り当てられた2段ベッドの2階、自分たちだけの区画。
小さな窓から、霧に煙る太郎山が見えた。
「本当に、遠くまで来たんだな」。
その景色は、紛れもなく北アルプス最奥地の表情をしていた。

8. 豪華すぎる夕食。母の知恵と山の幸

談話室での夕食は、今回の旅のハイライトの一つ。

アルファ米にお湯を注ぎ、
その上に母が持参した「筋子」と「鰻」を乗せる。
「山でこんなに贅沢なものが食べられるなんて!」
重い荷物を背負ってでも、美味しいものを食べさせたい。
そんな母の経験に基づいた遊び心と知恵が、疲れ切った体に染み渡った。

9. 雲間に溶ける夕日と、登山者たちの輪

夕方、外に出ると、思いがけない光景が広がっていた。
厚い雲がスッと下がり、その隙間から真っ赤な夕日が顔を出したのだ。
雲の中にゆっくりと消えていく太陽。

再び談話室に戻ると、
70代のベテラン登山者の方々と会話が弾む。
年齢を感じさせないバイタリティに刺激を受け、
山での夜は更けていった。

10. 本番は、明日から

濡れたウェアを乾燥室に運び、
談話室で夜食を取り、
21時には布団に入る。

とにかく、
無事に母と歩き切ること。
それが一番大切だ。

明日は、北アルプス最奥地・雲ノ平へ。
いよいよ、黒部源流域へと入っていく。

旅の記録はInstagramでも綴っています。
アカウント@tk.zero123

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