日本百名山・霧ヶ峰の最高峰、車山(1,925m)に76歳の母と登ってきました。日本海側に寒波が押し寄せ、朝の露天風呂で髪が凍りつくほどの冷え込みでした。しかし実際に歩き始めると、車山は拍子抜けするほど穏やかな風。白銀の高原を1ポールで歩く母の足取りは軽やかで、山頂では富士山・南アルプス・八ヶ岳・槍ヶ岳まで見渡す360度の大パノラマが広がっていました。「また来ようね」——思わず口に出てしまった、そんな贅沢な山旅のレポートです。
📋 この記事の基本情報
| 山名 | 霧ヶ峰・車山(1,925m)日本百名山 長野県 |
| 登山日 | 2026年1月中旬(寒波の日) |
| ルート | 車山肩駐車場 → 車山乗越 → スカイパノラマ山頂駅 → 車山山頂 → 車山展望テラス → 車山肩駐車場 |
| 距離・標高差 | 約3.9km/標高差約164m(上り) |
| コースタイム | 合計約3時間(休憩1時間7分含む) |
| 難易度 | 初級〜雪山入門(危険箇所なし) |
| 積雪状況 | 寒波による積雪あり。一部踏み抜きあり |
| アイゼン | 10本爪 |
| 宿泊 | 蓼科グランドホテル滝の湯(連泊2日目) |
| メンバー | 私+76歳母 |
前夜〜当日:髪が凍りついた露天風呂と、氷瀑の朝
前日から蓼科グランドホテル滝の湯に宿泊。前夜は夕食後に二度目のお風呂に入ろうとしたものの、眠気が限界で21時前に就寝してしまいました。
翌朝、日が出る前に目が覚め、朝食前に屋上の露天風呂へ。大好きなサウナがあったので、いつものルーティン(サウナ→水風呂→外気浴)をしようとしましたが、外は凍てつく寒さ。1分も経たないうちに「無理だ」と判断して露天風呂へ切り替えました。入ったのは良いのですが、数分もしないうちに髪が凍りついていくのがわかります。今日から寒波と天気予報が言っていたのは本当らしい。
部屋に戻る途中、渡り廊下を歩いていると目に飛び込んできたのは氷瀑。それほどの冷え込みだったということです。幻想的な光景に思わず立ち止まりました。部屋に戻ると母も起きていて、ともに朝食会場へ向かいました。

そしてビュッフェというのは、欲望をコントロールできなくさせるものです。和洋中なんでも並んでいる。当然、また食べすぎました。
霧ヶ峰・車山とはどんな山?
霧ヶ峰は長野県茅野市・諏訪市にまたがる日本百名山・花の百名山のひとつで、「霧ヶ峰」という名の山は存在せず、最高峰の車山(1,925m)を中心とした高原地帯全体を指す山域名です。三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」でもお馴染みの名前ですね。
車山の最大の特徴は、ビーナスラインで車山肩(標高約1,820m)まで車でアクセスできること。駐車場からの標高差はわずか約130〜164mで、冬の雪山入門として最適な山のひとつです。山頂は樹木のない広大な草原台地で、八ヶ岳連峰・南北中央アルプス・富士山・浅間山など360度の大パノラマが広がります。
出発まで:のんびりとした朝
今日は連泊なので気持ちに余裕があります。10時過ぎまでゴロゴロしながら、母が朝風呂から戻ってくるのをのんびり待ちました。
そしていざ出発しようとすると、車内のペットボトルが全て凍っていました。雪こそ降っていないものの、寒波の威力は凄まじいものがあります。
白樺湖からビーナスラインへ:景色は既に始まっている
白樺湖に立ち寄ると、冬の白樺湖は凍りつき、秋に来たときの夕暮れの景色とはまったく違う趣がありました。湖の背後には蓼科山がすっかり雪化粧している姿が見えます。雲の流れは速く、「今日の北横岳は私たちには厳しかっただろうな」と思いながら、ビーナスラインへ。

ビーナスラインに入ると景色が一変します。所々に積雪があり、スタッドレスタイヤを履いていて良かった場面がありました。そして霧ヶ峰富士見台に寄り道すると、眼前に八ヶ岳連峰がくっきりと、そして富士山と南アルプスまで素晴らしい眺望が広がりました。特に八ヶ岳の稜線が美しく、「ここで既に十分すぎる」と感じるほどの景色です。

白樺湖観光センター前の一時停止線では、以前もこの日も警察が取り締まりをしていました。観光センターの駐車場に一時停止線の見逃しで誘導される車が多い場所です。必ず一時停止を守って。
車山肩駐車場から歩き出す:ころぼっくるひゅっての前を通って
車山肩駐車場に到着。標高は既に約1,820mです。ここには名物の山小屋「ころぼっくるひゅって」があります。1956年創業の歴史ある山小屋で、ボルシチやコーヒーが有名な通年営業のカフェです。アイヌの説話に登場する小人「コロボックル」に因んだ名前で、アニメ「ゆるキャン△」の聖地としても知られています。
駐車場にはトイレもありますが、冬季は事前に確認を。
雪の高原歩き:穏やかな風と踏み抜きの洗礼
登り始めると、朝の凍てつく寒さの記憶とは裏腹に、風が穏やかです。日本海側に寒波が来ているとはいえ、霧ヶ峰は冬でも比較的晴れの日が多く、内陸性気候のため風が穏やかな日もあるという特性通りの穏やかさでした。太陽まで出ていて、雪面が輝きます。
1ポールを手に、一歩ずつ確実に進む母の足取りは軽やか。積雪期の霧ヶ峰は、雪に覆われた湿原地帯を歩く独特の感覚があります。危険箇所は特になく、76歳の母にとっても難所と感じる場所はありませんでした。

ただ、一部で踏み抜き(雪に足が沈んでしまう)がありました。先行者のトレースが踏み固められている箇所は問題ありませんが、外れると膝下まで沈むことも。それもまた冬山の醍醐味として、親子で笑いながら進みました。

スキー場に入ると少し傾斜がありますが、問題ない程度です。スキーヤーと交差する場所では端を歩くよう気をつけながら進みます。

13:55 車山山頂(1,925m)到達:言葉を失う大パノラマ
山頂には気象レーダードームと、4本の御柱に囲まれた車山神社が佇んでいます。山頂に立った瞬間、視界が一気に開け、遮るものが何もない360度の景色が広がります。
この日見えた山々を挙げると——
富士山:圧倒的な存在感でどっしりと構えています。霧ヶ峰の山頂から見る富士山は、余計なものが何もない高原越しに浮かぶ姿がまた格別です。

南アルプス・八ヶ岳:くっきりとした稜線が見え、特に手前に迫る八ヶ岳連峰の迫力は圧巻です。

槍ヶ岳:遠くに特徴的な穂先がはっきりと確認できました。北アルプスを遠望する日は特別な気分になります。

山頂には銅製の眺望案内盤があり、見えている山の名前を確認しながら景色を楽しむことができます。
母が入れてくれたお茶
母はいつもテルモスにお湯を入れてきます。この日も「お茶入れたわよ」と、頼んでもいないのに温かいお茶が出てきました(笑)。こんなやりとりが親子らしいのかもしれません。

山頂の車山展望テラス SKY TERRACEで絶景を眺めながら飲む温かいお茶は、格別でした。スカイパノラマ山頂駅のテラスはここでアイゼンやスノーシューを外して利用できます。
「また来ようね」——その言葉が自然と口から出てきました。これ以上の景色をどこかで見たことがあるだろうかと思えるほどの贅沢な時間でした。
八ヶ岳連峰・南アルプス(甲斐駒・仙丈・北岳)・中央アルプス・北アルプス(槍・穂高)・富士山・浅間山など360度の大パノラマ。山頂の銅製眺望案内盤で山座同定ができます。

下山:白銀の高原を振り返りながら
下山は尾根沿いを降りる違う道から下りました。下りながら振り返ると、先ほどまでいた山頂と、その背後に広がる山々が見えます。目の前には北アルプスという絶景です。雪の高原を歩きながらこれだけの景色を背負えるのは、霧ヶ峰ならではの魅力です。

コロボックルヒュッテを過ぎ、15:09に車山肩駐車場に戻ってきました。合計行動時間は約3時間、距離3.9kmとコンパクトながら満足感の高い山行でした。

2日目も蓼科グランドホテル滝の湯へ
この日も蓼科グランドホテル滝の湯に宿泊しました。同じ部屋に戻ると、なんだか家に帰ってきたような感覚がありました。連泊の良さはこういうところにあります。
夕食のビュッフェも2日目ともなると、昨日食べられなかったものを山行中から頭の中でリストアップしていました。「あれを食べたい」「あそこに何があったっけ」と話しながら歩いていた2人。だいたいの料理の置き場所も把握済みで、またしても食べすぎました。
蓼科グランドホテル滝の湯には全部で4種類のお風呂があります(渓流露天風呂と庭園大浴場が男女入れ替えで計4通り)。連泊しても飽きることなく楽しめます。2日目の湯上がりラウンジでは、二人でのびのびとくつろぎました。

🚗 霧ヶ峰・車山肩駐車場 アクセス情報
| 住所 | 長野県茅野市北山(車山肩) |
| 標高 | 約1,820m |
| 駐車場 | 無料・台数あり(夏季は満車になることも) |
| 冬季道路 | スタッドレスタイヤ必須。ビーナスラインは除雪あり |
| トイレ | バイオトイレあり(冬季は事前確認を) |
| 近隣施設 | ころぼっくるひゅって(カフェ・山小屋) |
| アクセス | 中央道 諏訪ICよりビーナスライン経由 約1時間 |
まとめ:こんな人に霧ヶ峰・車山はおすすめ
霧ヶ峰・車山は「最初の雪山」として本当に優れた山だと思います。危険箇所がなく、標高差が少なく、それでいて山頂からの展望は日本最高クラスといっても過言ではありません。寒波の日でも、風次第では穏やかに歩けることがあります(ただし風が強い日は難易度が上がります)。高齢の親と冬の景色を共有したい方に、強くおすすめしたいコースです。
✅ こんな人におすすめ
| ◎ | 雪山に初めて挑戦したい方・冬山入門者 |
| ◎ | 高齢の親・家族と冬の絶景を楽しみたい方 |
| ◎ | ビーナスラインのドライブと登山をセットで楽しみたい方 |
| ◎ | 富士山・南アルプス・北アルプスを一望したい方 |
| ◎ | 蓼科グランドホテル滝の湯に宿泊して周辺を巡りたい方 |
| △ | 強風・ホワイトアウト時は難易度が高くなります。天気予報の確認を忘れずに |
⚠️ 冬の霧ヶ峰・車山 持ち物チェックリスト
- 防寒レイヤリング(山頂は氷点下・風が強い日あり)
- 厚手の手袋・ニット帽・ネックウォーマー
- 軽アイゼンまたはチェーンスパイク(状況により)
- テルモス(温かい飲み物は必須)
- スタッドレスタイヤ(ビーナスライン走行に必須)
- YAMAPなどで当日の天気・風情報を事前確認
📱 Instagramでも動画で紹介しています
この山行の様子は、インスタグラムでも動画でお届けしています。凍りついた白樺湖と雪化粧の蓼科山、ビーナスラインの絶景ドライブ、雪の高原を歩く映像など、ぜひ動画でも楽しんでいただけると嬉しいです。
アカウントは @tk.zero.mountain です。フォローしていただけると励みになります!
📍 車山肩駐車場:長野県茅野市北山(ビーナスライン沿い)/無料
📍 ころぼっくるひゅって:車山肩駐車場隣接 TEL: 0266-58-0573
📍 蓼科グランドホテル滝の湯:長野県茅野市北山4028 TEL: 0266-67-2525
🌐 最新の登山・積雪・道路状況はYAMAP・霧ヶ峰自然保護センターで確認してください。


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