【櫛形山】アヤメと原生林とサルオガセの森へ|池の茶屋林道登山口から裸山・アヤメ平周回|車中泊&みたまの湯・母とのんびり山旅レポ【山梨・日本二百名山】

南アルプス

2026年7月1日、山梨県の櫛形山(くしがたやま・2,052m)に77歳の母と登ってきました。前日はみたまの湯の絶景温泉で疲れを癒し、道の駅富士川で車中泊。翌朝、池の茶屋林道登山口から櫛形山→裸山→アヤメ平の周回ルートを歩きます。7月上旬はアヤメの季節。サルオガセが垂れ下がる幻想的な原生林、南アルプスの大展望、鹿との遭遇、そして苔むすジブリのような森——静かで深い、母と二人だけの山時間をレポートします。

📋 この記事の基本情報

山名 櫛形山(くしがたやま)2,052m 山梨県南アルプス市・富士川町
山格 日本二百名山・山梨百名山(南アルプス前衛の山)
登山日 2026年7月1日(水・平日)
ルート 池の茶屋林道登山口→櫛形山→裸山→アヤメ平→(原生林コース)→北岳展望デッキ→登山口(周回)
行動時間 7:30〜13:55(約6時間25分・ゆっくりペース)
標準コースタイム 周回約4時間50分・約8.8km・累積標高差約711m
登山口標高 池の茶屋林道登山口 約1,855m(山頂との標高差約200m)
難易度 初〜中級(危険箇所なし・アップダウンあり)
前泊 道の駅富士川で車中泊+みたまの湯
メンバー 私+77歳母(リハビリ登山継続中)

櫛形山とはどんな山?

櫛形山は甲府盆地の西に位置する、櫛を伏せたような形をした標高2,052mの山です。日本二百名山・山梨百名山に選ばれた南アルプス前衛の山で、かつては日本一のアヤメの群生地として知られていました。一時期アヤメは激減しましたが、防護柵の設置などの保護活動により回復傾向にあり、7月上旬のアヤメシーズンには多くの登山者が訪れます。

この山の魅力はアヤメだけではありません。サルオガセが垂れ下がる原生林、樹齢300年を超えるといわれる巨大なカラマツやブナ、一面の苔——「幻想的な森歩き」ができる山として知る人ぞ知る存在です。標高1,855mの池の茶屋林道登山口から登れば、本格的な登りは序盤のみで、富士山や南アルプスの眺望となだらかな稜線歩きが楽しめるお得なコースとなっています。


【前日】みたまの湯の絶景温泉と、車中泊の夜

夕陽のみたまの湯

6月30日の夕方6時、母とみはらしの丘 みたまの湯に到着しました。駐車場から見た夕陽が綺麗で、長いドライブの疲れが少し和らぎます。

みたまの湯は温泉総選挙「絶景部門」で4年連続日本一(2019年〜2022年)に輝き、温泉施設として全国初の「夜景100選」「日本夜景遺産」に認定された絶景温泉です。露天風呂からは櫛形山、北岳、鳳凰三山、八ヶ岳、茅ヶ岳などの山々が眺められ、明日登る櫛形山を湯船から眺めるという贅沢な予習ができました。源泉は太古の植物から溶け出した天然有機物を含む透明感のある茶褐色で、サウナも完備。温泉とサウナで明日への英気を養いました。

道の駅富士川で車中泊:万願寺唐辛子弁当の夜

その後、道の駅富士川へ移動。ここで夕食です。私たち親子の旅では、私がお弁当を作ってくることが多いです。外食やコンビニ弁当よりも、家にあるものだけで作り上げた弁当が好きなのです。畑をやっているのもあって、食材を無駄にしたくない気持ちもあります。

🍱 今夜の弁当の主役:奥京都産・万願寺唐辛子
頂き物の万願寺唐辛子をグリルでしっかり焼いて、生姜醤油に鰹節。後部座席で頬張る母。こんな瞬間が、私には最高に贅沢だと感じられるのです。

母は車中泊に全く抵抗がなく、むしろ好きなようです。「後部座席が寝るのに丁度良いサイズ」とのこと。22時就寝。


【当日朝】4:30起床、そして登山口への試練の道

4:30起床。車から降りると、ここが山々に囲まれた場所だと分かります。7月1日、すごく気持ちの良い朝です。顔を洗い、寝袋を片付ける。昨年から何度も車中泊を重ねてきた二人なので、動きはスムーズです。朝食は車内で、私が作ってきたおにぎり。男性でお弁当を作ってくるのは少数派でしょうか(笑)。

Googleマップの罠:登山口までの林道に注意

腹ごしらえを済ませ、Googleマップに「池の茶屋林道登山口」とセットして出発——したのですが、ここで試練が待っていました。私の車では到底通れない道幅の狭い道に誘導されるなど、登山口に着くまでが大変でした。Googleマップは山道に関しては、たまに信頼できないことがあります。

⚠️ 池の茶屋林道登山口へのアクセス注意(重要)
登山口までの林道は麓から15kmほど、すれ違い困難な狭い道が続きます。運が悪いと数百メートルのバックを強いられることも。すれ違いスペースの位置を意識しながら、時間に余裕を持って運転してください。Googleマップの最短ルートではなく、県道からの正規ルート(丸山林道・池の茶屋林道)を事前に確認しておくのがおすすめです。

7:00、登山口の駐車場に到着。なんと車は私の1台のみ。平日であること、山の天気予報が微妙だったことが要因でしょうか。駐車場には仮設トイレが2つあり、非常に綺麗に管理されていました。


登山開始:静寂の森と最初のアヤメ

7:30 池の茶屋林道登山口より登山開始(誰にも会わない予感)
7:40 ベンチで母が上着を脱ぐ。周囲にコバイケイソウ
序盤 母が最初の1本のアヤメを発見!南アルプス展望ポイントで北岳・甲斐駒を確認
8:53 櫛形山山頂(2,052m)登頂。富士山が雲間にうっすら
10:09 裸山(2,003m)到着。アヤメの群生と休憩
11:19 アヤメ平到着。下山は原生林コースを選択
13:23 北岳展望デッキ到着(真っ白で展望なし)
13:55 登山口駐車場に帰着。車は3台に増えていた

母、1本目のアヤメを見つける

7:30、「誰にも会わない気しかしない」静かな登山道を歩き始めます。10分ほどでベンチが現れ、暑がりの母は早速上着を脱ぎます。周囲にはコバイケイソウ。そこからすぐ登ったところで、母が嬉しそうな声を上げました。最初の1本目のアヤメを見つけたのです。この花が今回のお目当てだったのか、と私はこの時初めて知りました(入笠山のスズランに続き、母の花目当てパターンです)。

南アルプス眺望ポイント:登った山を探す楽しみ

その後、南アルプスエリア眺望ポイントに到着。天気は曇り・霧の予報でしたが、朝のこの時間はまだ南アルプスがよく見えました。

まずは自分が登ったことのある山を探します。私が南アルプスで登ったのは北岳・甲斐駒ヶ岳・鳳凰三山。北岳と甲斐駒ヶ岳は見つけることができました。遠くに見える聖岳・赤石岳・悪沢岳などの南部の百名山は、私にはまだ遠い存在に思えます。でも、こうして見てしまうと登りたくなるものです。今年……いや来年か……。迷いは尽きませんが、母と「南アルプスを一望できて良かったね」と喜び合いました。

サルオガセの幻想的な森

山頂に向けて歩いていくと、立派なブナの巨木がいくつも現れます。樹木の大きさに驚かされます。さらに進むと——サルオガセが森全体に広がっていました。

サルオガセは樹木に着生する糸状の地衣類で、霧の多い原生林でしか見られない植物です。木々から無数に垂れ下がる姿は幻想的そのもの。小柄な母でも届きそうな高さに垂れているサルオガセを、一生懸命触ろうとしている母の姿が微笑ましかったです。他に誰もいないこともあり、深い森の奥へ迷い込んだような雰囲気でした。

8:53 櫛形山山頂:富士山がうっすらと

登山開始から1時間半弱で櫛形山山頂(2,052m)に登頂。山頂からは富士山が雲の中にうっすらと見えました。休憩にちょうど良い倒木があり、そこで小休憩。


裸山:アヤメの群生地と冷たい風

次は裸山へ向かいます。裸山が近づくにつれて、アヤメを見かける頻度がどんどん増えていきます。

10:09、裸山(2,003m)に到着。あたりはすっかりガスってしまいました。標高2,000mを超えているため、冷たい空気が山頂を吹き抜けます。フリースを着込んで、サンドウィッチと母が水筒に入れてきたお茶で休憩。「朝方に南アルプスが見られただけでも良かったね」と話しました。

この裸山山頂周辺が、今回のルートで一番アヤメが多く咲いていた場所でした。母の写真撮影が止まりません(笑)。アヤメの他にも「ウマノアシガタ」や「ヤマブキショウマ」などの花も見つけられました。

🌸 櫛形山のアヤメについて
櫛形山はかつて「日本一のアヤメ群生地」と呼ばれ、30ヘクタールに2000万本が咲くとされていました。2000年代に激減しましたが、鹿害防止の防護柵設置などの保護活動により近年は回復傾向にあります。見頃は例年6月下旬〜7月中旬。裸山山頂周辺とアヤメ平が主な群生地です。防護柵のゲートは必ず開閉し、木道・指定路を歩きましょう。

アヤメ平、そして原生林コースへ

11:19、アヤメ平に到着。実はここ、イメージしていたほどアヤメは咲いていませんでした。母が「他の植生に負けている」と残念そうに言います。長年花を見てきた母ならではの分析です。

そして悩んでいた下山ルート——行きと同じ道を戻るか、原生林を歩く別ルートか。母の膝の調子も良さそうなので、原生林コースを選択しました。

ジブリのような苔の森、そして鹿との遭遇

霧がかかっていることもあり、ここからはさらに深い森に入っていく感覚です。聞いたことのない動物の鳴き声が響き渡り、母と二人だから良いものの、一人で歩くのは少し怖いと感じるほどの深さです。

母が「これは鹿が食べた痕ね」と樹皮の剥がれた木を指差します。本当かどうかは分かりません(笑)。でも、そういう解説を聞きながら歩く森は楽しい。

苔も一面にびっしりと広がり、緑の絨毯のようです。ちょっとジブリな雰囲気があります。アップダウンを繰り返し、時おり急坂を越え、ガスの中へ。今度はシダに覆われる森へ——植生がどんどん変わっていく、本当に面白い山です

すると、大きな鳴き声が上の方から近づいてきました。何だと思って見上げると、急坂を駆け降りてくる鹿がいました。私たちに気づくと、遠目にお互い見合って、こちらには来ずに森へ消えていきました。野生との一瞬の交差です。

13:23、北岳展望デッキに到着——しましたが、真っ白で何も見えませんでした。晴れていれば北岳、アサヨ峰、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、八ヶ岳がよく見える絶好の展望地です。ここからは非常によく整備された道を歩き、13:55に登山口の駐車場へ帰着。車は3台に増えていました。すれ違いはゼロでしたが、他にも入山者はいたようです。


下山後:再びみたまの湯へ、母のご馳走

母は今回、足の痛みを一度も口にしませんでした。だいぶ調子が良かったのでしょう。車で山を下る途中、富士山が再びうっすらと見えました。曇り空も悪くない、と思えた瞬間です。

そして昨日のみたまの湯へ再び。露天風呂で山の疲れを流し、夕ご飯は母がご馳走してくれました。ノンアルで乾杯。

今回も無事に登れた。母とあと何回登山できるのだろう——最近はそんなことが頭をよぎることもあります。でも、母は「今できること」を探し続けている。だから私は、とことん付き合ってあげたいと思うのです。

♨️ みはらしの丘 みたまの湯 利用情報

住所 山梨県西八代郡市川三郷町大塚2608
泉質 アルカリ性単純温泉(天然有機物を含む茶褐色の湯)
入浴料 大人850円・小学生500円
設備 露天風呂・内湯・サウナ・食事処・産直野菜販売
実績 温泉総選挙 絶景部門4年連続日本一/夜景100選/日本夜景遺産
展望 露天風呂から櫛形山・北岳・鳳凰三山・八ヶ岳・甲府盆地を一望
おすすめ 夜景を楽しむなら日の入り15分前からの入浴が◎

まとめ:櫛形山は「静かな森歩き」を求める人への最適解

櫛形山は、派手な岩稜や大展望を求める山ではありません。その代わり、サルオガセの垂れる原生林、苔むす深い森、アヤメの群生、そして人の少ない静寂——「森を歩くことそのもの」を味わえる山です。池の茶屋林道登山口からなら標高差も少なく、リハビリ登山や高齢の方との山行にも向いています。アヤメの季節(6月下旬〜7月中旬)は特におすすめです。

✅ こんな人におすすめ

静かな森歩き・原生林の雰囲気を味わいたい人
アヤメ・高山植物を見たい人(6月下旬〜7月中旬)
高齢の親とのゆっくり登山・リハビリ登山
車中泊+温泉とセットの山旅を楽しみたい人
南アルプス・富士山の展望を静かに楽しみたい人(午前中が狙い目)
運転に不慣れな人(登山口までの狭い林道が最大の難所)

⚠️ 櫛形山 注意ポイントまとめ

  • 最大の難所は登山口までの林道。すれ違い困難な狭路が続くため運転は慎重に
  • Googleマップの最短ルート案内に注意。正規の林道ルートを事前確認
  • 標高2,000m超のため夏でも防寒着(フリース等)を持参
  • 原生林コースはアップダウンあり。時間と体力に余裕を持って
  • アヤメ保護の防護柵ゲートは必ず開閉。木道・指定路を歩くこと
  • 駐車場の仮設トイレは綺麗だが数は2つのみ

📱 Instagramでも動画で紹介しています

この山旅の様子は、インスタグラムでも動画でお届けしています。サルオガセの垂れる幻想的な原生林、裸山のアヤメ群生、駆け降りてくる鹿との遭遇、ジブリのような苔の森など、ぜひ映像でも体感してみてください。

アカウントは @tk.zero.mountain です。フォローしていただけると励みになります!


📍 池の茶屋林道登山口:山梨県南アルプス市(標高約1,855m・無料駐車場・仮設トイレあり)
📍 みはらしの丘 みたまの湯:山梨県西八代郡市川三郷町大塚2608 TEL: 055-272-2641
📍 道の駅富士川:山梨県南巨摩郡富士川町青柳町1655-3
🌐 アヤメの開花状況・林道の通行情報は富士川町・南アルプス市の公式サイトやYAMAPでご確認ください。

 

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